運動を持続するには，筋収縮に用いるエネルギー（ATP）を有酸素性代謝により絶えず産生する必要があります。そのため，生体内では大気から肺を通して酸素を血液中へ取り込み（外呼吸），循環系（心臓や血管）の働きにより血液を各細胞へ供給し，細胞と血液でガス交換を行なう（内呼吸）というシステムが働いています。このシステムは神経や生理活性物質を通して絶妙に調節されています。本研究室では，この呼吸循環調節システムがダイナミックに変動する運動時（特に運動開始時および終了後）に着目し，フィジオーム的視点，つまりミクロとマクロ双方向の視点から調節システムの全容を解明することを主要な目的として研究を進めています。

現在は，ウォーミングアップやサプリメント摂取による運動時呼吸循環動態への影響や，運動時呼吸循環動態と体温調節との関係の解明を目指しています。また，ファントム実験により，近赤外分光測定による組織内酸素化動態のより正確な生理学的解釈の確立を目指しています。